個別受注商談の工数をDXで40%削減 「受注の壁」を越えるポイントとは?
- 小林将人 .
- 10月29日
- 読了時間: 10分
個別受注が多いB2B製造業においてデジタル技術を活用しながら商談機会と受注を増やすためには何が必要だろうか。オンラインセミナー「Web活用で商談機会を倍増させる3つのカギ」の内容を紹介する。
転載元:TechFactory
TechFactory 2025年7月16日掲載記事より転載。本記事は TechFactoryより許諾を得て掲載しています
目次
製造業のWebマーケティングが直面する“3つの壁”とは

最初のセッションでは、テクノポート 代表取締役の徳山正康氏が「B2B製造業の技術コンテンツ専用Webマーケティング成功3つの勘コツ」をテーマに、B2B製造業がWebマーケティングにおいてぶつかる“3つの壁”を紹介した。
テクノポートは2010年の設立以来、製造業向けのWebマーケティングや、マーケティングに必要なコンテンツ制作を専門に展開している。特にメーカー出身者を多数抱えることで、技術解像度の高いマーケティングを強みとする。さらに、製造業に従事しながらライターとしても活動する「技術ライターネットワーク」を構築し、200人以上のライター網で専門性の高いコンテンツ制作にも対応している。
(写真)講演を行うテクノポート徳山氏
徳山氏は、これまでのテクノポートによる1200社を超えるB2B製造業の支援実績をもとに、Webマーケティングには、購買プロセスを見極める「購買フローマップ」を作成することが必要だという。「B2BではB2Cのような衝動買いは起きません。また、購買に至るまでの検討期間が長期化しやすい特徴があります。だからこそ、ユーザーがどのタイミングで情報を求めているかを把握することが重要になります。購買フローマップにおいて、自社製品の購買プロセスを正確に把握し、適切なタイミングで適切なコミュニケーションを取ることが必要です」と徳山氏は訴えた。

テクノポートが訴える「購買フローマップ」の例 提供:テクノポート
その上で徳山氏は、受注型製造業がWebマーケティングで成功するためには、「アクセスの壁」「問い合わせの壁」「受注の壁」という3つの壁があると指摘する。
第1の壁である「アクセス数の壁」は、そもそもの新規ユーザーからのアクセス数がない状態だ。徳山氏は「もちろん単純なアクセス数を増やすことも重要ですが、後につなげることを考えると、アクセス数がとにかく多ければよいというわけではありません。有望なリードを集め、商談につなげるためには、購買フローの最後の局面から逆算し、誰に向けて何を書くかを設計することが重要です。そこではSEO対策の精度が大きく問われます。製品ページを検索ユーザーのニーズにいかに最適化するかが重要です」と説明する。
第2の壁である「問い合わせの壁」は、アクセス数はあるのに問い合わせにつながらない状態だ。徳山氏は「ユーザーがWebにアクセスしても、関心を維持できなければ問い合わせにはつながりません。顧客の購買プロセスを踏まえ、購買フローの後半からコンテンツ設計をすることが必要です。ニーズが顕在化しているところから狙うべきです」と指摘する。
そして最後の「受注の壁」は、問い合わせから受注までうまく運ぶことができないという状態だ。「受注に向けては全てをWebマーケティングで解決することが難しく、営業対応力が求められますが、人手不足の中で全てを人手に頼って問い合わせから受注まで導くことが現実的に難しくなっています。いかにこれらのフローを効率化し、Webマーケティングが営業の役割を補えるかという視点が求められます」と徳山氏は強調する。
「受注の壁」を越えた3つの事例、営業対応工数を40%削減

続いて、フューチャーアーティザン コラボレーティブパートナー事業統括 フロントエンドイノベーション ビジネスユニット ビジネスユニット長の平石隆洋氏は、従来のマーケティング施策と人海戦術型営業だけでは突破が難しい「受注の壁」を乗り越えるための具体的なデジタルアプローチについて、3つの事例を交えて解説した。
平石氏がユニット長を務める「フロントエンドイノベーション ビジネスユニット」は、複雑なプロダクトをいかに売るかというB2B製造業特有の課題に対し、Webを活用した提案支援ソリューションの提供に注力している。「受注の壁は営業面での要因が大きく、提案活動をデジタル化し、Web上で顧客の購買行動を後押しする仕掛けが必要となります」と平石氏は語る。
(写真)講演を行うフューチャーアーティザン平石氏

事例1)産業機器メーカー:海外市場をWebで開拓
B2B製造業が受注の壁を乗り越えた事例として、1つ目は、海外市場への展開を進める産業機器メーカーの取り組みを紹介した。この企業は、国内で高いシェアを持つ一方、海外顧客との接点や対応体制に課題を抱えていた。従来は対面型での営業が基本で、海外からの問い合わせに対し、限られた拠点のリソースで対応できず、日本本社に時差を経て届くという非効率な状況だった。
B2B製造業専用製品サイト構築支援ツールを活用し、要求条件から製品を検索/比較できる多言語対応の製品検索サイトを立ち上げた。「これにより、接点のなかった新規顧客からの問い合わせを安定的に獲得できるようになり、海外拠点や代理店を通じた対応体制の最適化が実現しました。また、付加価値の高い特注依頼の呼び込みにもつながっています。さらに当初は想定外だった新たな要望なども生まれています」と平石氏は語る。このツールを活用した製品Webページは、数百項目に及ぶ製品属性をノーコードでメンテナンスでき、検索速度も維持されているという。
事例2)生産装置メーカー:メール/電話など長期的な人的擦り合わせ工数を削減
2つ目の事例は、生産装置メーカーの取り組みである。競争が激化する市場環境下で、人的リソースの逼迫と情報対応の分散により、顧客対応力に限界を感じていた。通常の製品受注においても、試作段階からの長期的なすり合わせが必要で、営業や技術部門の負荷も高かった。「同じ案件でも内容によって回答できる担当者が異なるなど、問い合わせ対応の偏りや非効率化が生じていました」と平石氏は説明する。
そこで同社は、B2B製造業専用製品サイト構築支援ツールを活用し、チャット形式でコミュニケーションできる製品選定サイトを構築した。メールでのやりとりに頼らず、顧客の検討を継続的に支援する仕組みを整備した。その結果、営業対応工数を40%削減しながら、顧客満足度と受注数をともに向上させることに成功した。
事例3)計測機器メーカー:Web活用で販売網と代理店を拡大強化し顧客対応力を向上
3つ目の事例は、計測機器メーカーの取り組みだ。この企業は、より高付加価値のカスタム品ビジネスへのシフトを志向していたが、その初期商談に対応できる販売店や代理店がごく少数であることに課題を抱えていた。単なる販売体制の強化だけでなく顧客の購買行動の変化への課題となっていた。「これまでは、顧客の検討初期段階から営業が伴走することが当たり前でしたが、昨今では、顧客が独自にWebを活用して自身の観点で検討を進めるように変わっています。自走する顧客の購買プロセスをWeb上で導く仕組みが必要ですが、カスタム品のような複雑な製品の商談をWebで完結するには、大きなシステム開発投資が必要とされていました」(平石氏)
この課題に対し同社では、オンライン(非対面Web)とオフライン(対面営業支援)を統合した製品選定プラットフォームを大きなシステム開発投資をすることなく構築した。顧客向け、代理店向け、社内向けの各種サイトをつなぎ、製品情報を一元管理。さらに、顧客の製品検討プロセスをWeb上で連携することで、問い合わせの増加と商談プロセスを効率化。受注拡大につながりました」と平石氏は振り返る。
「Fleacia」シリーズでB2B製造業の製品サイトを構築支援
事例で活用したツールは、「Fleacia(フリーシア)」の「Product Selector」「CPQ」機能だ。 B2B製造業向け製品サイトの構築を支援し、Webでの製品構成検討を可能にする、B2B製造業向けプロダクトナビゲーションツールである。技術的/専門的な製品であっても、製品の特徴や優位性を顧客に分かりやすく伝え、比較や検討を構造的に見られる製品Webページをスピーディーに立ち上げられる。「顧客が自身の要求を整理しながら選定し、それに対して適切な仕様をガイドし情報提供する動的で双方向な仕組みが必要です。Webを通じて顧客自身が必要な技術要件やオプションの検討ができる環境を整えれば、実際の受注に至る営業リードタイムはほとんどの場合で50%以下に短縮されています」と平石氏は説明する。
また、製品選定から見積・注文までの顧客の購買プロセスをWebで完結できるのが「Fleacia B2B コマース」だ。事例3)では、計測機器メーカーで代理店を含めた商談プロセスが大幅に効率化できているが、その下支えとなっている。一連の事例について平石氏は「専門性の高いプロダクトだからこそ顧客を導く必要があります。顧客の行動がWeb上の検討に変わっても、導くべき顧客の仕様検討プロセスは変わりません。そこに対応できるのが『Fleacia(フリーシア)』なのです」と訴えた。
AIを活用した製造業マーケティングの実際、やれることの具体例
課題1)営業人員、技術者の人材不足
まず、購買プロセスのオンライン化に関する理想と現実のギャップが話題となった。平石氏が紹介したアンケート結果では、購買プロセスのオンライン化へのニーズは高い一方で、現実には十分な対応が進んでいない企業が多いという実態が明らかになった。平石氏は、「ベテラン営業や技術のリタイアだけではなく、全体的な人材不足が顕著な中、現状の人的リソースだけで売り上げを拡大しろと言っても無理です。Web上で自社の製品や技術の特徴をいかに伝え、その流れでWeb上で具体的な商談につなげていく必要性は増すばかりです」と実感を述べた。

フューチャーアーティザンが行った購買プロセスのオンライン化についてのアンケート結果
提供:フューチャーアーティザン
課題2)B2B製造業における人的擦り合わせ業務にAIが使えるのか
B2BマーケティングにおけるAI(人工知能)活用について、徳山氏は2つの観点があると説明した。「1つは、AIを使ったWebコンテンツの作成です。ただし、検索ボリューム調査やSEOキーワードの抽出は、まだ人の手を必要とする場面が多く、プロの視点が不可欠です。もう1つは、検索手段そのものが生成AIにシフトしつつあることです。今後はユーザーのAI活用スキルが上がり、よりニッチな情報を求める傾向が強まると見ています」と徳山氏は説明する。
平石氏もこうした見解に同感し「営業や技術担当者が行っていた製品選定のプロセスにAIを実践的に活用する段階にきています。実際、「メンテが頻繁で困っている」「金型交換を安全にしたい」といった現場の困りごとなどの曖昧な要求を自然言語でインプットすると、対応する技術方式やオプションなど、これまでベテラン技術者や営業にしか行えなかったニーズを顕在化する提案をAIが行います。広範囲な知識が求められるB2B製造業だからこそAI活用の期待が高まっています」と明かした。

AI活用のイメージ。自然言語を入力するとレコメンドしてくれる 提供:フューチャーアーティザン
また、B2B製造業のデジタルマーケティングにおける課題について、徳山氏は「現状は知識の格差が大きいと感じています。マーケティング担当者不在のまま営業担当者が兼務する場合も多く、知識不足のままベンダーに依存するリスクもあります」と指摘する。それに対し平石氏は「事例でお伝えしたような、簡単にカタログ売りができないBtoB製造業のお客様を数多く支援してまいりました。複雑多様な製品検討をデジタル化する独自のDX方法論があリます。技術的な擦り合わせ要素が多く、個別に営業が対応をするしかないとWeb化や効率化を諦めているメーカーの方、ぜひご相談ください」と今後の抱負を述べた。
B2B製造業にとって、人手不足の中でも売り上げを伸ばすためには、受注活動の効率化は欠かせない。もし、Webを使った商談機会拡大を検討するのであれば、フューチャーアーティザンとテクノポートに相談してみるのも1つの手となるだろう。
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