top of page

CPQとは?製造業の営業DXを加速させるCPQシステムを解説

  • 2023年11月29日
  • 読了時間: 14分

更新日:2月13日


「見積回答に時間がかかる」「設計者が忙しい」「最新の製品情報が営業に伝わらない」──。製造業では、こうした課題が“慢性化”しているケースが少なくありません。


現場では、Excelでの見積作成や、紙やメールでの情報共有、担当者の経験に依存した属人的な業務が続いている企業も見られます。以下のような状況に心当たりはないでしょうか。


  • 熟練営業と設計者がすり合わせないと提案ができない

  • 見積に数日から数週間かかり、競合に負ける

  • 仕様改定・価格改定が共有されず、手戻りや赤字案件が発生する

  • 設計者が見積対応に追われ、本来の開発や改善業務ができない


こうした状況のなかで、解決の鍵となるのがCPQです。CPQは、単なる見積システムではありません。

製造業の営業DXの核となる 「仕様確定から見積まで」 のプロセスを標準化・自動化する仕組みです。


本記事では、CPQの基本的な仕組みや、製造業特有の課題への解決策、実際の導入事例、導入ポイントまで解説します。見積業務の改善を検討している方は、ぜひ参考にしてください。


目次


CPQとは何か|製造業の営業DXを支える仕組み


CPQ(Configure Price Quote)の意味



CPQとは Configure(仕様構成) / Price(価格算定) / Quote(見積作成) の頭文字を取った言葉で、顧客要件に合わせた仕様選定と価格算定、そして見積書作成までを一貫して支援する仕組みです。


製造業では「仕様が決まらないと価格が決まらない」「価格が決まらないと提案できない」といった構造があります。CPQは、仕様決定から価格算定までの判断をシステム化することで、提案スピードと正確性を両立させます。



CPQが製造業に最適な理由(導入メリット)


顧客ごとの仕様の違いが大きい個別受注型製造業では、「見積作成=設計判断」になりやすい業界です。つまり、見積を作る段階で「この仕様は技術的に成立するか」「顧客要求性能を満たすために、どのユニットや部品を組み合わせるべきか」といった設計的な判断が求められます。


営業だけでは見積を完結できず、設計者との確認や調整が必須となり、見積作成に時間がかかってしまいます。


CPQは、設計判断をシステム化することで、次のようなメリットを生みます。


  • 見積・仕様確定のリードタイムを短縮

  • 属人化している提案ノウハウをルール化し、資産として蓄積

  • 仕様ミスや価格ミスを防ぎ、赤字案件を抑制

  • 設計者の見積対応負荷を減らし、本来業務へ集中できる環境を実現


CPQは、製造業特有の「見積に設計判断が必要」という課題に正面から応える仕組みです。営業の自律性を高めながら設計者の負担を減らし、組織全体で効率的に見積・提案を支援します。



ERP、PLM、SFAなど既存システムとの役割の違い


製造業ではERPや、PLM、SFA/CRMといった既存システムが広く導入されています。


これらは受注後の業務管理、設計情報の統制、営業活動の可視化を目的としていますが、顧客接点である受注前の「仕様構成・価格算定・見積作成」といった提案プロセスの判断支援には基本的に対応していません。


CPQは、既存システムではカバーできないこの提案プロセスを標準化・自動化し、顧客への価値提供を通じて営業DXを加速させる役割を担います。


ここでは、ERP、PLM、SFA/CRMとCPQの役割の違いを解説します。



ERP:受注後の「社内業務」を統合する基幹システム

ERP(Enterprise Resource Planning)は、売上・購買・生産・在庫・会計など社内の基幹業務を統合管理するシステムです。業務効率化と経営数値の一元化を支える土台となります。


CPQで構成した仕様や見積情報を受注確定後にERPへ連携することで、生産指示や部材手配といった後工程へスムーズに引き継ぐことができ、受注から納品までの業務連携を強化できます。



PLM:製品情報を一元管理し、設計・開発を支えるシステム

PLM(Product Lifecycle Management)は、製品の企画・設計から製造、保守・サービスまで、製品ライフサイクル全体の情報を一元管理するシステムです。


図面やBOM、仕様変更履歴といった設計情報に加え、部品調達、製造工程、保守履歴など、製品に関わる情報を統合的に管理し、開発品質の向上や設計変更の統制、部品標準化を推進します。


CPQで確定した仕様情報をPLMのBOMと連携することで、設計部門が正確な部品構成をもとに詳細設計や製造準備を進めることができ、提案から設計・製造への情報伝達をスムーズにします。



SFA/CRM:営業活動や顧客情報を管理し、営業成果を最大化するシステム

SFA(Sales Force Automation)やCRM(Customer Relationship Management)は、顧客情報や商談進捗、営業活動履歴を可視化・管理し、営業プロセスの改善や案件管理の精度向上によって受注確度を高める仕組みです。


ただしSFA/CRMは、「商談状況、ステータスがどうなっているか」を可視化し、営業プロセスを整えることを目的としており、見積金額を算出するための仕様判断・価格ルール・設計ルールといった情報は基本的に管理対象外です。


一方で、CPQで作成した見積情報をSFA/CRMの商談情報と連携することで、案件ごとの見積履歴や提案内容を一元管理でき、営業活動の可視化と提案精度の向上を両立できます。



製造業が抱える3つの慢性課題をCPQがどう解決するか



1)営業・設計の属人化:熟練者に依存してしまう


よくある課題:

顧客要件に応じた提案が、顧客と熟練営業や熟練設計者との間の「すり合わせ」によって成立しており、判断基準や進め方が個人に依存しているケースがあります。

その結果、対応できる担当者が限られ特定の人に業務が集中し、若手が育ちにくい状況も生まれます。


CPQがどう解決するか:

CPQは設計ルールや過去の判断をロジックとしてシステム化し、誰が対応しても同じ品質で仕様判断と見積作成ができる状態をつくります。

属人的なノウハウを会社の資産として蓄積できるため、若手営業の育成を加速しながら、熟練者への依存を減らすことができます。



2)見積リードタイムが長い:営業現場で即答できない


よくある課題:

顧客から見積の問い合わせがあっても、営業がその場で回答できず設計に都度確認するため、見積提示まで数日から数週間を要する企業は少なくありません。

その間に競合が先に提案を進めてしまい、受注機会を逃すケースも発生します。


CPQがどう解決するか:

CPQを導入すると、営業が条件を入力するだけで仕様と価格が即座に算定され、見積書まで自動生成することが可能です。

これにより見積回答のスピードが大幅に向上し、拠点や代理店でも同じルールでリアルタイムに見積を出せるようになります。

顧客の問い合わせにその場で回答できることで提案数が増え、対応スピードの速さが受注競争での優位性を高めます。



3)仕様変更・価格改定が共有されない:最新情報が営業に届かない


よくある課題:

製品マスタや仕様変更、価格改定が営業にタイムリーに伝わらず、古い情報のまま見積を作成・提出してしまうことがあります。

その結果、手戻りが増えたり、情報の混乱が常態化したりします。さらに、古い価格で見積を出してしまい利益を確保できない赤字見積が発生してしまうことがあります。


CPQがどう解決するか:

CPQは仕様ルールや価格マスタを一元管理し、更新内容を見積業務へ即時反映できる仕組みを提供します。

営業は常に最新情報を前提に見積を作成できるため、手戻りを減らしながら赤字見積を防ぎ、提案品質と利益率を安定させることができます。



CPQシステムの仕組み|3つの主要機能を簡単解説




Configure(コンフィグレーター)|仕様構成のシステム化


コンフィグレーターは、顧客の条件や要望に応じて適切な製品仕様を選定・構成するための機能です。入力条件に応じて選択肢を提示しながら仕様を組み立てられるため、製品知識が十分でない営業担当でも、迷わず正確に仕様を選定できます。


また、組み合わせとして成立しない仕様や相反する制約を自動でチェックできるため、仕様選定のミスや手戻りを防ぎます。


熟練設計者が行っている判断プロセスをロジックとしてシステム化することで、営業が設計思考を理解していなくても、正しい仕様構成にたどり着ける状態を実現します。



※コンフィグレーターの詳細はこちらもご参照ください:



Price(価格算出)|正確で最新の価格算定を自動化


価格算出機能は、機種、ユニット、オプションなどの価格を一元管理し、仕様に応じた価格算定を自動化する仕組みです。価格改定や条件変更が発生しても即座に反映できるため、営業が古い情報をもとに見積を作成してしまうリスクを減らせます。


また、価格算定と同時に採算性を確認できるため、赤字見積の防止にもつながります。これにより、特定の担当者でなければ見積ができないといった属人的な状態を解消できます。



Quote(見積作成)|スピーディな見積生成と共有


見積作成機能は、入力した仕様情報をもとに見積書を即座に作成し、自社の見積帳票に合わせた形式で出力できるほか、顧客ごとの個別値引きや付帯費用の追加などにも柔軟に対応し、社内外で共有できる機能です。


見積書は同じ様式で出力され、国内外のどの拠点や代理店でも同じ水準の見積を作成可能です。


また、顧客ごとの見積履歴を管理できるため、過去の見積内容の確認や再見積にもスムーズに対応できます。提案スピードの向上だけでなく、営業活動の標準化にも貢献します。


CPQの機能詳細については、以下の記事もご覧ください。



製造業のCPQ導入事例


CPQはすでに多くの製造業で導入が進んでいます。弊社がFleacia CPQ導入を支援した事例をご紹介します。


NGKフィルテック株式会社(分離膜の総合エンジニアリング)



製薬用水設備など、高い品質基準と顧客要件が求められる装置を扱う同社では、引き合い段階から技術者が深く関与し、見積・積算に数日から数週間かかることが機会損失の要因になっていました。


そこで「初期見積を営業で完結できる仕組み」を目指してFleacia CPQを導入し、属人化していた設計根拠や技術計算を可視化し、ルールとして統一。

運用開始後、見積回答のリードタイムを最長2週間から即日に短縮し、技術部門の見積・積算業務負荷も大幅に削減しています。


事例の詳細はこちら:https://www.fleacia.jp/cases/ngk-filtech




株式会社イシダ(計量・包装ソリューション)



130年以上の特注ノウハウと膨大な製品知識を持つ同社では、顧客ごとに異なる個別要求に対して、最適な組み合わせを即座に提案できる仕組みが競争力の鍵でした。


そこでFleacia CPQを単なる効率化ツールではなく、属人化した知見を組織全体で活用できる仕組みと位置づけ、コンフィグレーターとBOM連携を軸に提案・見積プロセスを仕組み化。

新人営業でも即戦力として活躍できる状態を目指し、営業と設計をつなぐデジタル連携を推進しています。


事例の詳細はこちら:https://www.fleacia.jp/cases/ishida




シチズンマシナリー株式会社(工作機械)



CNC自動旋盤のリーディングカンパニーである同社は、工場IoTや基幹業務のデジタル化だけではなく、顧客への付加価値向上を目的とした営業プロセスのDXに取り組みました。


営業を起点に設計・製造・サービスまでをお客様目線で最適化するプロセス改革の一手としてFleacia CPQを採用。

見積作成時間を半減するとともに仕様書の品質も向上し、経験の浅い担当者でもベテランのノウハウを活用できるようになりました。


さらに、過去の実績あるカスタム設計を「推奨CS」として提案できる仕組みを構築し、提案力の強化と受注拡大につなげています。





中北製作所(船舶向けバルブ・制御機器)



顧客ニーズの多様化と少量多品種の増加が進むなか、同社は「大量生産の効率性」と「個別カスタム対応」を両立するマスカスタマイゼーションを目指しました。


その実現手段としてFleacia CPQを導入し、営業が自己完結で見積を作成できる仕組みを構築。

これまで営業と設計が共同で行っていた見積プロセスを見直し、設計部門の見積業務負担を半減させるとともに、営業の迅速な対応により顧客満足度も向上しています。


事例の詳細はこちら:https://www.fleacia.jp/cases/nakakita




横河電機株式会社(計測・制御・産業オートメーション)



グローバル市場での事業拡大を支える全社改革の一環として、同社は従来のすり合わせ型の受注方式から、標準品の組み合わせで受注できる方式へと舵を切りました。


背景には、海外展開を加速する中で、特注対応に依存した方式では競合他社と渡り合えないという課題がありました。


そこでセールスコンフィギュレーターを整備し、技術者の暗黙知を形式知化。特注対応が必要だった注文を標準品の組み合わせで受注可能にしました。これにより各国・各拠点での提案を高速化し、海外での受注機会拡大を推進しています。


事例の詳細はこちら:https://www.fleacia.jp/cases/yokogawa



CPQ導入を成功させるためのポイント


CPQは、導入しただけで見積作成が自動的に速くなるような便利ツールではありません。


製造業の見積には複雑な仕様判断や技術検討が必要なため、導入方法を誤ると、期待していた効果が得られないどころか、現場の混乱を招く可能性があります。


ここでは、CPQ導入を成功させるために欠かせない4つのポイントと、見落としがちなリスクを解説します。



1)熟練者の頭の中にある仕様ルールを可視化する


CPQ導入で最初に重要になるのは、熟練設計者が暗黙知として持っている判断基準を言語化し、仕様ルールとして整理することです。製造業の見積は単なる価格計算ではなく、「この条件ならこの仕様が成立する」や、「この用途なら必須オプションがある」といった意思決定の連続で成り立っています。


CPQは、その判断をシステム上のルールとして再現することで効果を発揮するため、導入にはこの暗黙知の可視化が必要です。


暗黙知の可視化とルール整理を軽視すると、CPQ上で確定可能な仕様が限定的になってしまい、「結局ベテランに確認が必要」「例外が多くて運用できない」といった状況に陥りがちです。


場合によっては、仕様の判定漏れによる見積ミスや手戻りが発生し、現場から「CPQはかえって効率が悪い」と評価され、導入自体が形骸化するリスクがあります。



2)小さく始めて拡張する(PoC → 本番導入)


CPQは扱う情報が多く、仕様ルール・価格ルール・見積フローなどを整理しながら構築する必要があるため、最初から全製品・全拠点に一気に展開しようとすると頓挫しやすい傾向があります。


まずは、対象製品や条件を絞ってPoC(検証導入)を行い、成果を確認しながら段階的に拡張する進め方が有効です。見積頻度が高い主力製品や、仕様ルールが整理しやすい領域に限定して効果を出すことで、社内の納得感と運用ノウハウを得やすくなります。


このような段階的アプローチを取らずに全面導入を目指すと、設計ルールやデータ整備が追いつかず、プロジェクトが長期化・高コスト化するリスクが高まります。


現場ではCPQと従来の手法を併用せざるを得ない状態が続き、「使い慣れた方法のほうが結局早い」と元の手法に戻ってしまうケースも多く、投資対効果が見えないまま導入が停滞する原因になります。



3)既存システムがある場合は連携方針を整理する


CPQは単独でも十分に効果を発揮するシステムですが、既にPLMやSFA、ERPを導入している場合は、それらとの連携方針を事前に整理しておくことで、さらなる効果が期待できます。


たとえばCPQとPLMの製品マスタやBOM情報が整合を保ちながら連携していれば、CPQで構成した仕様の精度を高めることができます。


さらに、SFAと連携していれば、商談情報をもとにスムーズに見積を作成でき、見積履歴や案件管理の精度も向上します。


こうした連携効果を得るには、導入初期の段階で各システムとの連携方針を明確にし、どの情報をどのシステムで管理するのか連携方針を定めておくことが重要です。


連携方針が曖昧な状態で導入すると、同じマスタ情報が複数のシステムに分散し、更新漏れや重複管理が発生します。


その結果、仕様変更や価格改定が正しく反映されず、古い情報で見積を出してしまうリスクが高まります。現場ではどのシステムの情報を信頼すべきか判断できず、CPQの目的である標準化・自動化がかえって阻害されることがあります。



4)海外・代理店を含めた運用設計を行う


海外拠点や代理店に販売体制がある企業の場合、CPQは利用者の権限範囲をどう設計するかが特に重要です。


たとえば海外拠点や代理店に見積作成権限を渡す場合でも、「国によって異なる仕様をどう制御するか」や、「値引きルールをどう制御するか」、「価格や原価情報をどこまで開示するか」といった運用ルールを明確にしておく必要があります。


システムだけ整えても、権限設定・承認フロー・例外対応の設計が不十分であれば、拠点ごとに異なる運用が生まれ、管理が困難になります。


運用設計が曖昧なまま展開すると、拠点ごとに見積ルールがばらつき、価格統制が効かなくなるリスクがあります。さらに、代理店が誤った仕様や価格で見積を出し、その後の修正対応に追われて工数が増えるケースも起こり得ます。


結果としてグローバル展開のスピードを上げるどころか、混乱と手戻りが増え、CPQ導入の目的と逆の方向に進んでしまう可能性があります。



個別受注型製造業向けの国産CPQ「Fleacia CPQ」



個別受注型製造業では、海外製CPQが前提とする業務モデルと合わないケースも少なくありません。


Fleacia CPQは、日本の個別受注型製造業に特化して開発されたCPQです。

営業段階での仕様構成だけでなく、設計判断や技術計算を含めた提案プロセス全体を支援し、営業・設計・製造の連携を強化します。


「見積の遅れ」「設計者の負荷」「提案業務の属人化」といった課題の解決を目指すのであれば、Fleacia CPQは有力な選択肢となるでしょう。貴社の課題に合うか、ぜひ一度ご相談ください。




bottom of page